主宰近詠(2017年10月号)

田はあをあを  本井 英

山畑に葉もの生りもの夏菊も

黒蝶の羽音聞こゆるかと見遣る

緑蔭へ小げら小声をこぼしては

野鯉釣るとよ緑蔭に小椅子置き

甥が来てくれてうれしきビール注ぐ




冷麦と青マジックで書いてある

冷麦にやさしき色の二 (スジ)

波乗りに良き波来ればたてつづけ

ここにまたフラ・スタジオや凌霄花

つきささるやうに翡翠対岸へ




海原が過ぎ去つてゆく昼寝かな

十薬の葉に錆色の行きわたり

沢瀉の白がちらちら田はあをあを

土用入わが健啖を恃みとし

夏の雨吸ひてやすらかアスファルト



   

こもろ・日盛俳句祭五句

香水や耳たぶうすく生まれつき 山かげのここの清水も諏訪の神 風わたりはじめし雨の青胡桃 青胡桃三個づつ二個づつもある 土砂降りにほとびはじめし蚯蚓かな
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