右横書き 本井 英
初富士へ金烏傾きそめんとす 双六の折れ目に駒のころげけり 迎春と右横書きを掲げたる なまはげの今年雪無き道を来る なまはげの帰りゆくとき小さかりし
坊ごとに今日のお届け凍豆腐 寒椿落ちて氷にころがれる ゆつくりとぶつかることも寒の鯉 釣りよせて少し抗ひ寒の鯉 寒鯉のふかく湛へしインク色
川風にことさら寒しふくらはぎ 海猫とならべば華奢に都鳥 寒天に消防ホース吊るし干し 川涸れて取水ホースの横たはり 探梅に熊鈴もがな径細り
尉鶲枝つかむとき裳裾派手 大屋根の寒の乾きの蕪懸魚 日脚伸ぶ聖夜の星がまだ窓に 列柱の南都銀行日脚伸ぶ 陽石に紙垂めぐらせばあたたかし