ほんわりと 本井 英
頸上下してゐし鴨の交りたる 見知りをれど名は知らぬなり日向ぼこ 御首級を埋めてまつる枯木山 山靴の泥をぬぐふに冬の草 旭光に霧氷ささやきそめにけり
蕎麦搔や十一宿は山の中 蕎麦搔に外湯めぐりの一休み 蕎麦搔や逃散などと物騒な 助炭白二畳台目のよろしさに 消閑にこころ尽くせば枇杷の花
冬帽子熊の耳つけ兎の耳つけ しかすがに萎れ皇帝ダリアたり 乾ききりし銀杏黄葉や踏めば音 宝くじ売場著膨れならぬなく 著ぶくれてフラ教室の更衣室
著ぶくれて手庇をして老いけらし 遠目にはほんわりとあり花八手 島裏の畑も枯野にもどりたる 日のベンチ冬至の蠅が待つてゐし 大枯木かな皮めくれ枝よぢれ