【高瀬竟二句集『風樹』】

【高瀬竟二句集『風樹』】

『風樹』_高瀬竟二句集

『風樹』_高瀬竟二句集

ふらんす堂、平成二十三年二月

「ホトトギス」「海坂」「玉藻」などの同人で、「夏潮」でも課題句選者を勤められている高瀬竟二さんの第三句集。

平成七年から十九年までの十三年間、その間に氏は銀行を定年退職され、一人っ子の愛娘様が嫁いでいったとのこと。

 

 句集の題名は第一句集から「花鳥諷詠」に因んだ名前をつけてこられたので、今回は「諷」にちなんだ言葉から「風樹」というタイトルを選ばれたとのこと。

 

現在では虚子の「追っかけ」として全国の句碑を巡る旅をされており、まもなく全国制覇。

 

 花鳥諷詠の王道を行くような写生句と、心の底から浮かんだ感情を静かに季題に託して詠みあげる技術は目を見張るものがある。

 ご本人が「あとがき」で、「自句との類句類想が気になる」「句意が表面出て報告に終っている」と厳しく自己反省されている点、見習うところ大である。

 更なる高みへ向け、我々を導いて頂きたい。

 

以下、印をつけた句を紹介したい。

「春暁抄」

・風音を松の高きに初詣

・悴みて天といふ字のゆがみたる

・風の木曽瀬音の飛騨や旅の秋

・残菊の裏庭に日のまはりたる

 

「夜涼抄」

・初夢の大蛇のごときものに遭ふ

・手の見えて柱のかげの甘茶仏

・おほよその数を並べて藺座布団

・子と仰ぐ虹の断片まだ失せず

・嫁ぎたる子の部屋暗し遠花火

・流灯を爪先濡らす水に置く

・ダムできる前の話や衣被

・蒟蒻を掘る山影を重く負ふ

・畦そこら枯れ極まりて日にまぶし

 

「待宵抄」

・食積の曲げて収まる海老の髭

・終日を耕し天に至らざる

・漱石を伏せて新茶を淹れにけり

・岸壁の秋やひらひら魚釣れて

 

「霜声抄」

・新年の岸壁天へ反るごとし

・湖の魚網に乏しき義仲忌

・能面に血のいろ通ふ花の昼

・繭籠の傷みの見ゆるまま積まれ

・力瘤失せたる腕を蚊が刺しぬ

・抱へ来るぐるぐる巻きの日除かな

・廃校の西日の壁の世界地図

・鎌の柄に二百十日の風湿る

・糸瓜忌の棚から垂るるものの影

・腰かがめ水禍の稲を起こし刈る

・敗荷の折れ伏すことの待つたなし

・我と我が影と冬田の端よぎる

 

★外部リンク

「ふらんす堂」HP

http://furansudo.ocnk.net/product/1672

http://fragie.exblog.jp/d2011-02-15/

 

「俳諧師前北かおる」

http://maekitakaoru.blog100.fc2.com/blog-entry-633.html

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