「蠅」 原 昇平 選 蠅打てばたちまち鯉に呑まれけり 青木百舌鳥 打ちそこねたる蠅小首傾げをり 蠅追うてゆると進める水牛車 冨田いづみ 蠅の来て絵皿の縁を歩くかな 永田泰三 山頂の祠の蠅の清浄に 本井 英 磯菜屑に蠅のたかれる浜の昼 山内裕子
課題句(2023年6月号)
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「蠅」 原 昇平 選 蠅打てばたちまち鯉に呑まれけり 青木百舌鳥 打ちそこねたる蠅小首傾げをり 蠅追うてゆると進める水牛車 冨田いづみ 蠅の来て絵皿の縁を歩くかな 永田泰三 山頂の祠の蠅の清浄に 本井 英 磯菜屑に蠅のたかれる浜の昼 山内裕子
「武者人形」 渡邉美保 選 紋所は軍配団扇武具飾る 児玉和子 武具飾る高祖父よりの伝来と 殿様の大床なりし武具飾る 岩本桂子 面 頰は今度も出さず武具飾る 青木百舌鳥 踏ん張れる足むつちりと武者人形 前田なな 武者人形女系一家に男の子 本井 英
課題句「チューリップ」 冨田いづみ 選 チューリップローカル線の窓一面 磯田和子 一区画赤に尽くしてチューリップ チューリップ今日の日差しに開き初む 宮田公子 チューリップ終の姿のしどけなく 児玉和子 チューリップ開いて閉ぢて一日かな 小山久米子 チューリップの首刎ねてあり一ト畑 本井 英
課題句 「芹」 原 昌平 選 芹の水この辺はまたクレソンが 藤永貴之 芹の上にわが影落ちぬ蟹現れぬ 芹摘みし手を高く振り芹も見せ 牧野伴枝 野歩きの昼のラーメン芹入れて 塩川孝治 芹生ふる府県境の峠かな 小沢藪柑子 芹の香の真つ只中に芹刻む 前北かおる
課題句 「白魚」 田中 香 選 白魚汲む水面の光もろともに 磯田和子 白魚網上げてふるひて十尾ほど 曳きあげて月のいろなる白魚かな 冨田いづみ 白魚を月の海より掬ひけり 喜多村純子 湯に放つ白魚たちまち色を得し 山内裕子 水掬ふごと白魚を掬ひけり 渡邉美保