課題句」カテゴリーアーカイブ

課題句(2023年6月号)

「蠅」          原 昇平 選

蠅打てばたちまち鯉に呑まれけり	青木百舌鳥
打ちそこねたる蠅小首傾げをり

蠅追うてゆると進める水牛車		冨田いづみ
蠅の来て絵皿の縁を歩くかな		永田泰三
山頂の祠の蠅の清浄に		本井 英
磯菜屑に蠅のたかれる浜の昼		山内裕子

課題句(2023年5月号)

「武者人形」 渡邉美保 選
紋所は軍配団扇武具飾る		児玉和子
武具飾る高祖父よりの伝来と

殿様の大床なりし武具飾る		岩本桂子
面 頰(メンポホ)は今度も出さず武具飾る		青木百舌鳥
踏ん張れる足むつちりと武者人形	前田なな
武者人形女系一家に男の子		本井 英

課題句(2023年4月号)

課題句「チューリップ」      冨田いづみ 選


チューリップローカル線の窓一面    磯田和子
一区画赤に尽くしてチューリップ

チューリップ今日の日差しに開き初む  宮田公子
チューリップ終の姿のしどけなく    児玉和子
チューリップ開いて閉ぢて一日かな   小山久米子
チューリップの首刎ねてあり一ト畑   本井 英

課題句(2023年3月号)

課題句 「芹」		原 昌平 選

芹の水この辺はまたクレソンが		藤永貴之
芹の上にわが影落ちぬ蟹現れぬ

芹摘みし手を高く振り芹も見せ		牧野伴枝
野歩きの昼のラーメン芹入れて	塩川孝治
芹生ふる府県境の峠かな		小沢藪柑子
芹の香の真つ只中に芹刻む 		前北かおる					

課題句(2023年2月号)

課題句 「白魚」             田中 香 選

白魚汲む水面の光もろともに		磯田和子
白魚網上げてふるひて十尾ほど	
曳きあげて月のいろなる白魚かな	冨田いづみ
白魚を月の海より掬ひけり		喜多村純子
湯に放つ白魚たちまち色を得し		山内裕子
水掬ふごと白魚を掬ひけり		渡邉美保